物流企業の経営に必要な要素

物流企業の経営者は経験(クラフト)を重視し過ぎる傾向がある。もちろん経験は何よりも大切であるが、同じくらいアート(ビジョン。創造的発想)とサイエンス(分析力)が大切である。

アート力を身につけるには思考法とそれを活用するための知識の蓄積が必要である。リーダーシップとも密接な関係にある。

サイエンスはマネジメントそのものとも言えるが、数値して分析する力とスケジュール化して実行する力である。

クラフトにアートとサイエンスの力を加えることで、本当のリーダーシップとマネジメントの力を備えることが出来る。

マネジメントは実践の行為

ヘンリー・ミンツバーグ

マネジャーはリーダーでもあり、リーダーはマネジャーでもあるべきなのだと、理解する必要がある。

マネジメントはサイエンスでもなければ、専門技術でもない。マネジメントは実践の行為であり、主として経験を通じて習得される。

サイエンスの目的は、研究を通じて体系的な知識を獲得すること。これは、マネジメントの目指すものとはまるで違う。マネジメントの目的は、組織の中でものごとを成し遂げる後押しをすることだ。もちろん、マネジメントをおこなう過程でサイエンスを活用しないわけではない。マネジャーはありとあらゆる知識を総動員しなければならない。それに、マネジャーがものごとを分析するうえでは、サイエンスにもとづく手法が欠かせない。

しかしマネジメントを成功させるには、サイエンス以上にアートの要素が必要だし、それにもましてクラフト(技)の要素が不可欠だ。アートは、直感を通じた洞察やビジョンを生み出す。クラフトは、経験を通じて学ぶことを可能にする。マネジャーが日々の業務を続けながら問題を解決するためには、この要素が欠かせない。

マネジメント(実践)は、アート(ビジョン。創造的発想)クラフト(経験。現実に即した学習)、サイエンス(分析。体系的データ)の三要素がそれぞれの頂点をなす三角形の中で行われるとみなせる。アートは、マネジメントに理念と一貫性を与える。クラフトは、目に見える経験にもとづいて、マネジメントを地に足のついたものにする。そしてサイエンスは、知識の体系的な分析を通じてマネジメントに秩序を生み出す。

環境変化とダイナミックケイパビリティ

菊澤 研宗「ダイナミック・ケイパビリティ」の経営学

現代 の よう な 人口 減少 時代 に 必要 な 企業 経営 とは、 環境 の 変化 を 感知 し、 機会 を 捕捉 し、 既存 の 知識 や 資産 や 資源 を 再 構成、 再利用、 そして 再 配置 し て、 付加価値 を 最大 化 する 経営 なので ある。 そして、 これ を 実現 する には、 ダイナミック・ケイパビリティ を 発揮 し て 既存 の 資産 や 資源 や 知識 を 再利用 し、 指揮者 の よう に オーケストレーション し て( こちら を 参照)、 正しい こと を 行う 経営 が 必要 なので ある。 •

かつて、 英国 では ペスト が 流行 し、 それ によって 人口 が 半減 し た と いう。 英国 オックスフォード大学 出身 で ゴールド マン・サックス 金融 調査 室長 だっ た デービッド・アトキンソン に よる と、 この とき、 英国 の 産業 に 大きな 変化 が 発生 し た と いう。 労働者 が 激減 し た ため、 英国 では 人手 が 必要 な 穀物 の 栽培 から、 人手 の いら ない 畜産 や 葡萄、 野菜、 果物、 麻 など といった 付加価値 の 高い 作物 の 栽培 へと 移行 し、 環境 変化 に 適応 し た と いう。  

同じ よう に、 日本 企業 も 既存 の 資源、 資産、 技術 を 再 配置、 再 構成、 再利用 し て 付加価値 を 高める ダイナミック・ケイパビリティ を 発揮 する。そうすれば、まじめな日本企業もパラダイムの不条理に陥ることはなく、日本経済も破たんしないだろう。

少しストレッチする任務の重要性

『自衛隊元最高幹部が教える経営学では学べない戦略の本質』折木良一

•レンジャー徽章は取得したところえ昇進が有利になるわけではなく、手当がでるわけでもありません。そこで得られるのは、名誉とプライドだけですが、驚くべきことに、レンジャー訓練の前とあとで、隊員は別人のように変わります。

•自らの限界までに挑戦したとう自負心、大概のことでは自分は潰れることはない、何があっても生き延びて戦えるとう自信に満ちた表情を、レンジャーを終えた隊員は見せてくれます。そして通常の部隊に戻ると尊敬の眼差しを向けられますから、レンジャー徽章をもつ隊員がいることで、その所属部隊も活気づきます。

•つまり個人の成長だけでなく、その隊員が所属する組織にとっても、レンジャー訓練はとても有用なのです。この訓練は隊員個人を鍛え、強くすることはもちろん、最終的には自衛隊全体を強くすることにつながっているといえるでしょう。

•一部の優秀な人たちは、とやかくいわなくとも自分で実践し、自己の力を高めてゆける。そこで現場レベルのパフォーマンスの底上げに影響するのは、動機づけ次第で限界に挑戦するかもしれない残りの大半の人たちなのです。

人と組織を動かす5原則

『自衛隊元最高幹部が教える経営学では学べない戦略の本質』折木良一

•日ごろ行っている、備えの核心である教育訓練も、よほどしっかりとした目的意識、心構えをもって積み上げていかないと、いざというときに組織としての能力を発揮しえないことになります。

•事あるときには生死を共にする組織である自衛隊において、統率(リーダーシップ)の根本は、指揮官と部下との相互信頼です。

•一朝一夕につくらげられるものではなく、日ごろの業務のなかで意識しながら育てていくものだと思います。

•部下がリーダーや組織のために自然に何かをしたいと思うのは、リーダーを信じているからこそであり、リーダーもそれに応えなければなりません。

•そのためにはリーダーとして普段の教育が重要であり、任務を行うには目標を理解させることが原点です。

•力のいることですが、忍耐もリーダーシップの一つです。

4種類の人材

ルイス・ガースナー『巨象も踊る』

世の中には4種類の人がいる

•動きを起こす人

•動きに巻き込まれた人

•動きを見守る人

•動きが起こったことすら知らない人

この本はIBMで動きを起こした人たちをテーマにしている。

戦略は実行が重要

『巨象も踊る』ルイス・ガースナー

独自の戦略を開発するのは極めて難しい。 結局のところ、どの競争相手も基本的におなじ武器で戦っていることが多い。

したがって実行こそが、成功に導く戦略のなかで決定的な部分なのだ。やりとげること、正しくやりとげること、競争相手より上手くやりとげることが、将来の新しいビジョンを夢想するより、はるかに重要である。

世界の偉大な企業はいずれも、日々の実行で競争相手に差をつけている。

IBM経営者の条件 

『巨象も踊る』ルイス・ガースナー

•エネルギー

  •極めて精力的 •体力がある •行動を優先させる傾向が強い

•組織を率いる指導力

 •戦略のセンス •人々に動機づけを与え、活気づける •熱意を伝えて組織の潜在力を最大限に引き出す •強力なチームを作る •他人から最善のものを引き出す

•市場でのリーダーシップ

 •高等でのコミュニケーション力が卓越している •業界や顧客との関係にCEOとして関与し参加する •

•個人の資質

  •頭脳明晰 •自身をもち、同時に何を知らないかを知っている •聞き上手 •厳しい決定を下す―ビジネスと人事で •情熱が目に見える •顧客第一に徹する •スピードと影響を本能的に求める

休みない自己改革

ルイス・ガースナー『巨象も踊る』

•IBMは環境と伝統、勤勉の組み合わせによって、そして幸運に恵まれて、いまでは新しい種類の企業、一見矛盾する性格を併せもった企業の先駆けになる立場に立つようになった。その性格の一部を、わたしは2001年の年次報告書に書いた最後の「株主への手紙」でこう表現した。

•「規模が大きく、しかも動きが速い。企業家精神があり、しかも規律がある。科学を重視すると同時に、市場主導型である。世界規模で知的資産を作りだせるとともに、それを個々の顧客に提供できる新しい種類の企業であり、つねに学び、常に変化し、つねに自己改革を行っていく。強固で、事業を絞り込んでいるが、新しいアイデアをいつでも受け入れる。官僚主義、偽善、駆け引きを嫌う。実績に報いる。そして何よりも、活動のすべてで人材と情熱を求める。」