「情熱・熱意・執念の経営」

永守重信著

•数字でビジョンを描く

•将来のコストやマーケットの情勢を数字で見通すことで将来ビジョンを描ける経営者でなければ、会社はこれからの時代を生き抜いていくことはできないと痛感しています。

•身分相応の取引先  •一流(決して規模の大小ではありません)の会社とだけ取引をしてきました。これがベンチャー企業にとっての「身分相応」なのです。

•倒産会社の共通点 

•この十数年間の間に倒産寸前まで追い込まれていた20社以上の会社の経営権を譲り受けて、再建にあたってきました。そのほとんどが大企業の子会社でしたが、共通していたのは、工場の清掃が行き届いていない、出勤率が悪い、社員同士であっても挨拶をしないといった、当たり前のことができていないということでした。赤字会社を黒字にするのは決して難しくありません。固定費の多くを占める人件費を見直し、といっても切り詰めるのではなく、出勤率を高めて、工場をきれいにするだけで赤字が黒字になります。

•社員の意識を変える

•日本電産は十数年前から20社以上の経営不振企業を譲り受けて、再建活動に取り組んできました。社長や役員を後退させることも、社員をリストラすることもありません。基本的には、同じ人、同じ商品で再建を進めてきました。では、何を変えたかといえば、トップ以下社員全員の意識です。社員の意識が変われば、社員の行動が変わり、会社は生まれ変わることができるのです。

•意識の差は百倍

•個人の能力の差というのはせいぜい5倍くらいですが、意識の差は100倍になるというのが、わが社の採用と教育のベースとなっています。つまり、最初から高い能力を持った人を採用するというよりは、ごく人並みの能力を持つ人を採用し、私自身が先頭に立って、社員の士気を高めることに全力を傾注してゆきます。わが社が創業32年で売上高4800億円の企業グループに成長した要因は、社員の意識を変えたことに尽きると思っています。

•最大の福利厚生は能力アップ

社員に対する最高の福利厚生は、本人の能力アップだというのが日本電産の考えで、仮にわが社を辞めて他社に移ったとしても通用する能力の開発を最優先していく方針を貫いてきました。

•経営者としての信念

•「あらゆる努力」と「とことん謙虚」という心情を持ちたいと思っています。こうした信念がなければ、経営者になるべきではないとも思っています。

•一人の百歩より百人の一歩

•会社の要諦はどこにあるのかといえば、一人の社員の百歩に頼るのではなく、百人の社員に一歩ずつ歩んでもらうという地道な前進をいかに継続させていくかにあると持っています。

•経営の極意

•原理原則にしたがって、当たり前のことを当たり前にやっていくということで、これ以上でもなければ、これ以下でもありません。

•「継続は力なり」という言葉がありますが、一切の妥協や譲歩を許さず、誰にでもわかっている当たり前のことを、淡々と持続させていくこと以外に成功する極意も秘訣も存在しません。メーカーにとって当たり前のことは、世の中で求められているものをどこよりも安いコストで作ることです。

•問題は必ず解決できる

•30年あまりの会社経営で、私が得た教訓の一つが「問題は必ず解決できる」とうことです。これまでわが社で解決できなかったも問題、開発できなかった新商品はありません。理由は簡単で、途中で絶対にギブアップしなかったからです。

•優良企業の共通点

•当たり前のことを当たり前にやり、その日にやるべきことを翌日に残さないという2点が、優良企業に共通するポイントです。会社の業績があがらないのは、社員のせいではありません。8割以上が経営者の責任です。つまり、トップ自らが意識を変えて、この2点を徹底して実践してゆけば、会社は変わり、優良企業の仲間入りを果たすことができます。まずはトップの高い意識があって、それに社員が共鳴すれば、会社全体の意識が向上してゆくのです。

マネジメントは実践の行為

『 マネジャーの実像 』ヘンリー・ミンツバーグ

マネジャーはリーダーでもあり、リーダーはマネジャーでもあるべきなのだと、理解する必要がある。

マネジメントはサイエンスでもなければ、専門技術でもない。マネジメントは実践の行為であり、主として経験を通じて習得される。

サイエンスの目的は、研究を通じて体系的な知識を獲得すること。これは、マネジメントの目指すものとはまるで違う。マネジメントの目的は、組織の中でものごとを成し遂げる後押しをすることだ。もちろん、マネジメントをおこなう過程でサイエンスを活用しないわけではない。マネジャーはありとあらゆる知識を総動員しなければならない。それに、マネジャーがものごとを分析するうえでは、サイエンスにもとづく手法が欠かせない。

しかしマネジメントを成功させるには、サイエンス以上にアートの要素が必要だし、それにもましてクラフト(技)の要素が不可欠だ。アートは、直感を通じた洞察やビジョンを生み出す。クラフトは、経験を通じて学ぶことを可能にする。マネジャーが日々の業務を続けながら問題を解決するためには、この要素が欠かせない。

マネジメント(実践)は、アート(ビジョン。創造的発想)クラフト(経験。現実に即した学習)、サイエンス(分析。体系的データ)の三要素がそれぞれの頂点をなす三角形の中で行われるとみなせる。アートは、マネジメントに理念と一貫性を与える。クラフトは、目に見える経験にもとづいて、マネジメントを地に足のついたものにする。そしてサイエンスは、知識の体系的な分析を通じてマネジメントに秩序を生み出す。

組織を動かすための10の教訓

『リーダーシップ論』コッター

1.重要な組織変革を成功に導くのは息の長い仕事であり、複雑な8段階のプロセスからなるものである。変革がとんとん拍子に手際よく進むことはあり得ない。踏むべきステップを日和見的にはしょったり、実行手順をあべこべにしてしまうようでは、志はとうてい遂げられない。


2.どのような環境下であれ、変革は一般的に、数字におよぶ複雑なプロセスを経て完遂されるものだ。だが、組織変革を目指すマネジャーが主にどういった行動をとるかは、常に個々の状況に応じて異なる。その時々の状況を十分に考慮しなかなったり、ある特定のアプローチを万能だと思い、そればかりにしがみついたりするようでは、悲惨な結末につながるかもしれない。

3.20世紀の歴史とその時代に培われた企業文化の影響を受けた人々は、大変革を実行しようとする際に、皆、同じような過ちを犯す(これには多くの理由がある)。有能で正しい志を持ったマネジャーですら、その例外ではない。


4.リーダーシップとマネジメントは別物である。そして、意義ある変革を成功に導く原動力は、リーダーシップであってマネジメントではない。十分なリーダーシップが発揮されなければ、失敗の可能性は高く、成功の可能性は低くなる。新戦略、リエンジニアリング、企業買収、品質プログラム、体質改善など、どのような変革であろうと、それは同じである。


5.変化のスピードが速まっているため、組織を動かすうえでリーダーシップの重要性が高くなっている。組織内で権力を持つ人々のうちごく一人握りしか、この重要な事実を認識あるいは理解していない。

6.組織を動かす人々は、マネジメントとリーダーとしての仕事を両方こなすようになってきている、といって差し支えないだろう。マネジメントの仕事は、計画と予算を策定し、階層を活用して職務遂行に必要な人脈を構築し、コントロールによって任務をまっとうすることである。また、リーダーとしての仕事は、ビジョンと戦略を作り上げ、複雑ではあるが同じベクトルを持つ人脈を背景に実行力を築き、社員のやる気を引き出すことでビジョンと戦略を遂行することである。


7.マネジメントは、組織のフォーマルな階層を通して機能する。だがリーダーシップはインフォーマルな人間関係に依存する。このため、環境変化のせいでリーダーシップへのニーズが大きくなると、組織を動かす立場にある人々は、ますます複雑な力関係、人間関係の中に身を置くようになる。

8.組織を動かすうえで、リーダーシップの発揮が重要になってきている。そして、リーダーとは、人間同士の複雑な依存関係をくりながら役割を果たすものである。そのため、権力を振りかざすのではなく、インフォーマルな人間関係を上手く処することが、組織を動かす人々の重要な仕事になっている。


9.「組織を動かす」というテーマについて、ヒエラルキーやフォーマルな権威だけでなく、人的ネットワークや依存関係という問題も考えるようになると、そこに、興味深いさまざまな意味合いを見つけ出すことができる。従来は奇妙に聞こえたり、邪道と考えられていたアイデアー例えば、「上司をマネジメントする」-の重要性を、突如として理解できるようになる。

10.マネジャーやリーダーが分刻みの時間刻みでとる行動は、マネジャーや英雄的リーダー、あるいはエグゼクティブに対して世間が抱く典型的なイメージを裏切るのが普通だ。そのため、組織を動かす立場にある人々、とくに新米マネジャーは、大いに混乱してしまう。しかし、マネジャーがこなさなければならない幅広い役割(リーダーシップとマネジメント)、困難な業務(現状の継続と変革)、そして(フォーマルな階層だけにとどまらない)複雑な人間関係を考慮すれば、彼らの日々の行動も理解できるというものだ。