大航海時代の技術革新による世界市場の誕生(1)

大航海時代

大航海時代とは1400年頃から1650年頃までの時代を指す言葉で、ヨーロッパがアジア貿易のための新たな航路を確保する過程で出現した時代である。大航海時代以前のヨーロッパにおける主要な貿易は、地中海周辺とバルト海を結ぶものが中心で、まだ地球全体は視野にはいっていなかった。

新時代出現のきっかけとなったのはトルコ系オスマン帝国の西方に向けた進出である。東ローマ帝国を滅亡させたイスラーム勢力の領土拡大は、地中海でアジア貿易など手広く商業活動を営んできたジェノバ商人にとって大きな打撃で、これまで地中海を経由していたヨーロッパ・アジア間貿易の展開を難しくした。結局は、喜望峰を経由する航路がアジア貿易の経路となるが、この東インドならびに新大陸にむけた航路が形成される過程で貿易の窓口となったのは、まずはイベリア半島、やがては北海沿岸といった大西洋沿岸の港湾都市であった。ヨーロッパでは大陸北西部の経済的な比重が高まってゆくのである。大航海時代の到来は、旧来のアジア貿易の舞台であった地中海から西欧地域へとヨーロッパ経済の比重を移動させていった。

政治的な背景はともかく、大航海時代を出現せた人々の動機には、経済、宗教的な動機があった。

経済的な動機については、南欧を中心とした商人たちは、イスラーム商人のネットワークを経由せずとも香辛料や香料の入手が可能な新たなルートの開拓を目指していた。14世紀中ごろに黒死病の大流行を経験した後のヨーロッパでは、香辛料や香料の薬剤としての用途が注目され、商品としての価値を高めていた。

宗教的な動機も強かった。オスマン勢力の拡大に直面していたヨーロッパでは、ブレスター・ジョンという架空の王が人々の耳目をあつめるようになり、アジアにあるという彼のキリスト教王国を発見してともに手を携えてイスラーム教徒に立ち向かおうという期待が高まっていたのである。

ヴァスコ・ダ・ガマに東方に行くように命じたポルトガル国王ジョアン一世は、ダ・ガマにとにかく発見し、東方の財宝を見つけ、東方に存在すると信じられていたキリスト教大国と提携することで、海を支配する際には同盟国となると期待した。

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