コンテナ輸送革命

マルク・レビンソン『コンテナ物語』

今日問題になるのは「資本や労働者をどれだけ集められるか」ではない。「イノベーションによって資本や労働者をどれほど効率的に使い、より多くのモノやサービスを生み出せるか」なのだ。

そして研究の結果、新技術それ自体はさほど経済的利益を生まないことが明らかになった。・・・「イノベーションは最終的にはそれが最も適した用途に応用されるが、初期段階ではうまく適応できないことが多い」。新技術の導入を阻むのは、新しいやり方に対する抵抗感である。

発明の経済効果を生み出すのは、発明そのものではない。それを実用化するイノベーションである。いやもっと厳密には、・・・が指摘するように、組織や制度の変革である。そうした変革によって、企業は新技術のメリットを生かせる組織に生まれ変わる。

コンテナ輸送が陸と海を通じてモノを移動させる全く新しいシステムに成長を遂げたとき、はじめて貿易や産業の在り方に影響を与えるようになったのである。コンテナの可能性、動かす方法を使い手の方が学ぶまで世界は変わらず、しかもそれにはずいぶん時間がかかった。

しかし一旦変わり始めると、変化のスピードは速かった。コンテナの採用が進むほど、コストは下がる。こうしてローコストのコンテナ輸送が世界中で当たり前になった。

物流史

玉木俊明『物流は世界史をどのように変えたのか』

インターネットの発展が、グローバリゼーションの大きな要因であると考える。それは間違いなく正しい。だがそれと同時に、物流がどのように発展してきたのかという側面に目をむけなければ、グローバリゼーションの重要な一面を見落とすことになってしまう。世界中の商品が自宅に届くということは、国際的な物流システムの発展があったということである。したがって、グローバリゼーションの研究とは、物流システムの発展の研究と言い換えることもできよう。けれども物流の歴史の研究はあまり進んでいない。

イノベーション 価値と革新

•イノベーションは、革新的なアイデアが具体的な製品や製法、サービスとなり、それらが社会に受容されてはじめて実現する。新しければイノベーション、変化すればイノベーションというわけではない。

•イノベーションは、経済活動の文脈において商業的な目的をもってじっこうされる特定の社会的活動である。(シュンペーター1934) 革新性はあくまでもイノベーションの必要条件に過ぎない。

•イノベーションとして成立するか否かは、あくまでも社会の判断にゆだねられる。どんなに優れた機能を実現する技術を開発したとしても、それが社会に受け入れられなければ、イノベーションとは認められない。その意味で、イノベーションとは、常に、事後的に判断されるものである。

•そこで生まれる価値のすべてをイノベーターが獲得するとは限らない。熾烈な市場競争に巻き込まれれば、想像された価値は消費者に還元され、イノベーターにはほとんど残らないこともありうる。

•イノベーションと認められるような革新は、多くの場合、多様な波及効果を通じて、社会に多大な影響をもたらすことになる。

悪い戦略とは

ルメルト『良い戦略、悪い戦略』

•空疎である •戦略構造を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や難解な表現を使い、行動な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。

•重大な問題に取り組まない •見えないふりをするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら、当然ながら適切な戦略を立てることはできないし、評価することもできない。

•目標と戦略を取り違えている。 •悪い戦略の多くは、困難な問題を乗り越える道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている。

•間違った戦略目標を掲げている •寄せ集めの目標、非現実的な目標 •戦略目標とは、戦略を実現する手段として設定されるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、間違った目標と言わざるを得ない。

良い戦略とは

ルメルト『良い戦略、悪い戦略』

•良い戦略は驚きである。 •新たな強みを生み出すこと。 •ほかの組織はどこもそれを持っておらず、かつあたなかが持っているとは予想もしていないだけに、その価値は圧倒的だ。 •良い戦略は、重要な一つの結果をだすための的を絞った方針を示し、リソースを投入し、行動を組織する。 •歴史を振り返っても、このような戦略を持ち合わせている企業はそう多くない。 例 アップル

•強みを発見する。 •多くの良い戦略に備わっている第二の価値は、新たな強みを知り弱点に気づくところから生まれる。 •これまでとは違う視点から、あるいはまったく新しい角度から物事を見直すと、気づいていいなかった強みやチャンス、あるいは弱点や脅威を発見できることがよくある。 •例 ウォルマート

組織を動かすための10の教訓

『リーダーシップ論』コッター

1.重要な組織変革を成功に導くのは息の長い仕事であり、複雑な8段階のプロセスからなるものである。変革がとんとん拍子に手際よく進むことはあり得ない。踏むべきステップを日和見的にはしょったり、実行手順をあべこべにしてしまうようでは、志はとうてい遂げられない。


2.どのような環境下であれ、変革は一般的に、数字におよぶ複雑なプロセスを経て完遂されるものだ。だが、組織変革を目指すマネジャーが主にどういった行動をとるかは、常に個々の状況に応じて異なる。その時々の状況を十分に考慮しなかなったり、ある特定のアプローチを万能だと思い、そればかりにしがみついたりするようでは、悲惨な結末につながるかもしれない。

3.20世紀の歴史とその時代に培われた企業文化の影響を受けた人々は、大変革を実行しようとする際に、皆、同じような過ちを犯す(これには多くの理由がある)。有能で正しい志を持ったマネジャーですら、その例外ではない。


4.リーダーシップとマネジメントは別物である。そして、意義ある変革を成功に導く原動力は、リーダーシップであってマネジメントではない。十分なリーダーシップが発揮されなければ、失敗の可能性は高く、成功の可能性は低くなる。新戦略、リエンジニアリング、企業買収、品質プログラム、体質改善など、どのような変革であろうと、それは同じである。


5.変化のスピードが速まっているため、組織を動かすうえでリーダーシップの重要性が高くなっている。組織内で権力を持つ人々のうちごく一人握りしか、この重要な事実を認識あるいは理解していない。

6.組織を動かす人々は、マネジメントとリーダーとしての仕事を両方こなすようになってきている、といって差し支えないだろう。マネジメントの仕事は、計画と予算を策定し、階層を活用して職務遂行に必要な人脈を構築し、コントロールによって任務をまっとうすることである。また、リーダーとしての仕事は、ビジョンと戦略を作り上げ、複雑ではあるが同じベクトルを持つ人脈を背景に実行力を築き、社員のやる気を引き出すことでビジョンと戦略を遂行することである。


7.マネジメントは、組織のフォーマルな階層を通して機能する。だがリーダーシップはインフォーマルな人間関係に依存する。このため、環境変化のせいでリーダーシップへのニーズが大きくなると、組織を動かす立場にある人々は、ますます複雑な力関係、人間関係の中に身を置くようになる。

8.組織を動かすうえで、リーダーシップの発揮が重要になってきている。そして、リーダーとは、人間同士の複雑な依存関係をくりながら役割を果たすものである。そのため、権力を振りかざすのではなく、インフォーマルな人間関係を上手く処することが、組織を動かす人々の重要な仕事になっている。


9.「組織を動かす」というテーマについて、ヒエラルキーやフォーマルな権威だけでなく、人的ネットワークや依存関係という問題も考えるようになると、そこに、興味深いさまざまな意味合いを見つけ出すことができる。従来は奇妙に聞こえたり、邪道と考えられていたアイデアー例えば、「上司をマネジメントする」-の重要性を、突如として理解できるようになる。

10.マネジャーやリーダーが分刻みの時間刻みでとる行動は、マネジャーや英雄的リーダー、あるいはエグゼクティブに対して世間が抱く典型的なイメージを裏切るのが普通だ。そのため、組織を動かす立場にある人々、とくに新米マネジャーは、大いに混乱してしまう。しかし、マネジャーがこなさなければならない幅広い役割(リーダーシップとマネジメント)、困難な業務(現状の継続と変革)、そして(フォーマルな階層だけにとどまらない)複雑な人間関係を考慮すれば、彼らの日々の行動も理解できるというものだ。

戦略策定の要諦

戦略を野心やリーダーシップの表現とはきちがえたり、戦略とビジョンやプランニングを同一視したりする人が多いが、どれも正しくない。

戦略策定の肝は常に同じであり、直面する状況の中から死活的に重要な要素を見つける。そして、企業であればそこに経営資源、すなわちヒト、モノ、カネそして行動を集中させる方法を考えることである。

リーダーはまさにこの役割を果たさなければならない。