海運業界 規模の経済の追求

『コンテナ物語』マルク・レビンソン

1970年代後半の海運産業は、必死で規模を追い求めていた。船が大きくなればコンテナ輸送コストは下がる。港が大きくクレーンが協力になれば、荷役コストは下がる。70年代初めに主流だった20’コンテナはすでに40’コンテナに取って代わられ、荷役時間も船の船舶時間も大幅に短縮されていた。こうしてコストが削減されれば、その分を有効な投資に回すこともできる。これは好循環といってよいだろう。

コンテナ1個当たりのコストが下がれば運賃を下げるころができ、運賃が下がればたくさんの貨物を集荷できる。そうなれば単位コストはますますさがる、という図式である。コンテナ輸送は、規模の経済がモノを言う産業の代表格だった。

コンテナ時代が到来すると弱小企業に生き残る余地はなくなった。・・貨物が多いほど固定費を分散できるからだ。事業範囲を広げれば広げるほど、たくさんの貨物、たくさんのコンテナを確保できる。それにネットワークを拡大すれば、グローバル企業を顧客に抱えるチャンスが増えるという大きなメリットもあった。

海上コンテナ輸送とグローバリゼーション

『コンテナ物語』マルク・レビンソン

経済活動は国境を軽々と超えて世界に広がったのである。輸送コストが低下するに従い、生産地も人件費の高い国から低い国へとシフトする。この流れは、あらゆる国の賃金が同一水準に収斂するまで続くだろう。

コンテナ技術が運賃下落に大きな役割を果たしたことは確かだといえるだろう。 • 過去半世紀の間にみられた貿易パターンや経済活動の拠点の劇的な変化は、コンテナ化との強い関連性をうかがわせる。

地味すぎて、技術革新の研究者の注意を引くことさえできない。20世紀の半ば以降、経済や貿易に影響を与えた要因はあまりにも多く、その陰でコンテナの存在はずっと無視されてきた。