ロジスティクスサービス体制構築のポイント

ロジスティクスサービス体制構築のポイントについてまとめました。

(1)販売のABCDサービスに注目することが必要です。アフターサービス(A)として顧客と継続的にコミュニケーションをとり、サービスの問題点などを把握して、改善する必要があります。ビフォアーサービス(B)として、継続的に新サービスなどを紹介したり、自主的に改善提案することがあげられます。コミュニケーションサービス(C)として業界情報などを日常から提供して、コミュニケーションをとる必要があります。Dはディストリビューションサービスですが、これはロジスティクスそのものなので、割愛します。

(2)企業理念として、社内でサービスの目的と サービスの目標を明確化する必要があります。インターナルマーケティングの考え方に基づきますが、社員のサービス目標を明確にして、社員に働きやすい環境などつくりなど会社によるサポート体制を組むことで、顧客に直接サービスを提供する社員のサービス提供能力が大幅に向上することが期待できます。

(3)品質の変動性への対応策ですが、サービス要員を確保し、専門的サービスに必要な教育を行い、 従業員相互がサービスについて連携活動を行う社内システムを構築する必要があります。

(4)顧客満足を継続的に向上するため、自社のサービス体制について顧客満足度を調査するとともに、苦情や意見、提案など顧客情報を受け入れやすいシステムを構築する必要があります。また社内のサービスの実績を記録し、これを活用することも重要です。

ロジスティクスサービスと競争優位ー差別化優位

差別化優位
(1) ブランド化
 無形性への対応で非常に大きい意義を持ちます。サービスは利用するまでその価値を実際には認識できません。イメージなどでサービスを訴求する必要があります。その際にサービスを一言で認識できるブランドがあれば非常に有利です。
 宅配といえばヤマト、クーリエといえばDHLやFEDEXというような確立されたブランド力があれば別ですが、なかなか簡単にはゆきません。自社の強みをよく見極めたうえで、経営資源を集中して強みを強化するとともに、外部に向かって積極的に宣伝する必要があります。その際に独自ブランド名を冠して、繰り返し強調するべきでしょう。
 今後、ロジスティクス企業が生き残るにはメーカー同様にブランド戦略は非常に大きい意義を持つと思われます。社員の士気向上にもつながります。
(2)高品質化
①標準化   品質の変動性への対応策です。例えばパレットの標準化とそれに合わせた製品包装、梱包などで標準化がかなり進みました。しかし、まだ改善の余地が残されていると思います。
②KPIの活用
 サービスの無形性への対応策です。コスト削減率、配送時間達成率、誤出荷率、無事故率などさまざまな物流管理上の数値を指標化し、それを顧客にコミットすることで、業務獲得を狙うロジスティクス業者も増えているようです。
③情報化
 サービスの無形性と品質の変動性への対応策です。サービスの可視化させるためのリアルタイム化、品質の変動性を低下させるためのシステム化など競争優位を築く上では欠かせない点です。一方で投資コストが多額となること、投資効果の測定が課題です。

ロジスティクスサービスと競争優位

サービスの特性を理解したうえで、ロジスティクス業界の競合他社に対して競争優位を確立するための戦略について考えてみたいと思います。コスト優位と差別化優位の2点で分類します。
1コスト優位
(1)マニュアル化
 品質の変動性の点からですが、結果的にはコスト削減につながります。社員教育、プロセスの品質維持を目指します。それに基づいて継続的に見直し、プロセス改善、コスト削減を図ります。マニュアル化には現場作業の効率化だけを目指すのではなく、目標とする品質を達成するための改善の視点も取り入れ、さらに都度見直しをかけることがポイントです。
(2)システム化
 品質の変動性の観点から機械化、ITによるサービス品質向維持を図るのが目的ですが、結果的に合理化、コスト優位にも直結します。ただ投資が小さくないのが難点です。また投資効果の測定も難しい点も課題です。
(3)共同化
 需要の変動性への対応に関係しますが、需要変動に伴う稼働率の向上をはかるうえで、共同運行は非常に効果があります。 外航海運では昔から盛んでした。航空業界でもとり入れられています。日本国内のトラック業界でも動きが盛んです。

サービスマーケティングとロジスティクス

ロジスティクスサービスにおけるサービス特性の実例と対応方法について説明します。
1サービスの無形性 
 実際にサービスを受けないとサービスの内容や質は評価することができません。宣伝だけみてもサービスの内容を実感することはできません。航空会社がパイロットの優秀性や親切なスチュワーデスを広告で訴求するのは、この無形性のためです。
 ロジスティクス企業はサービスを訴求するために、ロジスティクスシステムを支える人材やハードを強調することがあります。ヤマト運輸がセールスドライバーの誠実さを、DHLがネットワークのグローバル性を、Fedexがチームワークの良さを訴求するのも同じ要因からです。


2品質の変動性 
 サービスを提供する社員によりサービス品質は変わります。理髪店で新人よりも顔なじみのベテランを好むのはこうした理由です。対応策としては、研修などで個人によるサービスレベル差をなくすことや、人的関与を減らすことが考えられます。例えば、ホテルや飲食店などでのサービスの研修を行ってサービス品質を保つことや、予約や注文のIT化など自動化で人的関与を減らすことがあげられます。

 ロジスティクスは多くの人的作業が関与するサービスです。そのため、まず研修や訓練で人的なサービスレベルの差をなくすことが必要です。さらに、投資負担がありますが、ITやマテハンの導入などの機械化で品質維持につとめることなどがあげられます。

3不可分性 
 サービスは生産(供給)と消費(需要)が同時です。ホテルなどをイメージしてもらえればよいですが、消費者がサービスを受ける時には、サービスの供給と需要が同時に行われております。その結果、サービスの提供者と受け手の顧客の相互関係が重視されます。場所などの雰囲気、提供者の身だしなみなどが重要な要素となるのです。
 ロジスティクスでは、この点はあまり重視されないかもしれませんが、サービスの特性として認識する必要はあります。運転手の身だしなみや受付の雰囲気への配慮も重要なマーケティング要素なのです。

4消滅性   
 当然ですがサービスは在庫できません。 たとえばホテルや旅客機の空席は機会損失となり、回復することはできません。

 ロジスティクスではトラック、飛行機、船舶などすべての貨物輸送というサービスを行う際に、貨物がなければ空で運行しなければなりません。モノのようにとっておくことが出来ません。そのため共同配送、共同運行などにより実車率、乗客率などを向上させることが求められます。


5需要の変動性 
 季節や時間などにより需要変動が大きくなるのもサービスの特性です。需要管理には、非ピーク時の価格の引き下げ、朝食メニューや平日ゴルフパックなどの非ピーク時の需要活性化があります。レストランのラウンジのような補完サービスも考えられます。供給管理のもっとも簡単な例にはセルフサービスがあります。パートの活用による需要変動の緩和も一つです。非ピーク時に清掃などを行うことで、人員の効率を高めることも一手段です。
 ロジスティクスサービスで需要の変動性に対応することは非常に困難です。需要を自らコントロールすることは困難ですので、供給管理が主な対応策となります。ピーク時に自社の人員や設備だけで対応できなくなった場合に、外注先などを利用することが最も一般的な供給管理策です。

マーケティング4P-チャネル(プレイス)

製品・サービスを販売する場合、生産者、卸売業者、小売業者、消費者から構成されるチャネルメンバーに対して、製品やサービス特性に合わせて効率的、効果的なチャネル政策を採用する必要があります。今日ではサプライチェーンマネジメント理論の浸透により、効率的な生産・販売・物流システムの確立が求められています。

 チャネル政策には、伝統的理論として一般消費財などが該当する開放的チャネル、化粧品などが該当する選択的チャネル、ブランド商品などが該当する専売的チャネル、などのモデルがあります。

 ロジスティクスなどサービス業でもたとえば、ヤマト運輸が宅配便の取次店をどのように選択したのかが一つのチャネル政策の一例です。宅急便開始時、酒屋を荷物の取次店としてサービス網を拡充していった経緯があります。この場合、ヤマト運輸は選択的チャネル政策を採用したといえます。やがてヤマト運輸は、コンビニの成長に伴い、コンビニを利用してゆきました。現在では、自社の営業所を拡充して自宅や会社からの直接販売に乗り出しております。
 一方で、デルやアマゾンなどのように、インターネットによる消費者への直販が急速に伸びています。当講座も一例かもしれません。

 ちなみにデルやアマゾンなどのインターネット販売を支えているのが、宅配便など高度なロジスティクスシステムであるのは言うまでもありません。

マーケティング4P-プロモーション

プロモーションには様々な方法があります。テレビやラジオなどの広告、クーポンやサンプルなどの販売促進、セールスマンによる人的販 売、新聞からの取材などによるパブリシティなどです。

 ヤマト運輸では新聞、雑誌、テレビなどさまざまなメディアを活用した広告の他、企業サービスなどには人的販売も取り入れ、雑誌や新聞などによる取材を受けてのパブリシティにも積極的です。しかしながら身近に見かけるヤマト運輸のセールスドライバーとトラックが一番のプロモーションなのだろうと思います。

 また、プロモーションのうちの広告にはさまざまな類型があります。

 広告対象で分類すると、企業広告と製品広告があります。企業広告とは商品やサービスなど特定ブランドについてではなく、企業そのものを訴求して企業イメージ向上を目的とした広告です。製品広告は、たとえば宅配便やクロネコメール便など特定の製品やサービスのブランドの宣伝を目的とした広告です。
 また、訴求内容による類型もあります。製品情報について訴求する情報提供型広告。自社ブランドが品質面やコスト面で優れているかを訴求する説得型広告。自社ブランドを忘れさせないことを訴求するためのリマインダー広告。自社ブランドと競合ブランドを直接、間接に比較するための比較広告です。

マーケティング4P-プライス(2)

価格の決定要因には、製品やサービスを提供するための固定費や変動費などのコスト要因、顧客の価格に対する需要の大きさなどの需要要因、競合の価格を考慮した競争要因などがあります。

 さらに価格を決定したあと、価格政策により価格の運営方法を検討します。低価格の目玉商品により顧客を引き寄せ、商品ミックスで客単価向上を図るロスリーダー政策、ひげそりとかみそりのように主商品の価格を低くし付属品の価格を高くするキャプティブ価格、地域別に価格を変える地域別価格政策などがあります。

 こうした複合的な要因を検討し、前ページを考慮したうえで、顧客に買ってもらえる価格を決定する必要があります。

 宅配便の価格政策については、取扱商品により価格を変える商品ミックス価格政策と地域別価格政策の組み合わせからサービス料金を設定しています。

マーケティング4P-プライス

価格政策はマーケティングの意思決定でもかなり重要な要素です。 安ければ売れるというものではありません。適正な値付けが重要です。

 物流サービスでは、基本的に距離と大きさ(重さ)により価格帯が異なります。さらに、サービスの緊急性エキスプレスサービスとノーマルサービス、時間指定サービスなど納入時間によっても料金は異なります。

 ヤマト運輸は高いというイメージがあります。非価格対応を実践しています。サービスにかけるコストが割高なのかもしれませんが、ブランド力やデリバリーの正確性への自信が背景にあると思います。