少しストレッチする任務の重要性

『自衛隊元最高幹部が教える経営学では学べない戦略の本質』折木良一

•レンジャー徽章は取得したところえ昇進が有利になるわけではなく、手当がでるわけでもありません。そこで得られるのは、名誉とプライドだけですが、驚くべきことに、レンジャー訓練の前とあとで、隊員は別人のように変わります。

•自らの限界までに挑戦したとう自負心、大概のことでは自分は潰れることはない、何があっても生き延びて戦えるとう自信に満ちた表情を、レンジャーを終えた隊員は見せてくれます。そして通常の部隊に戻ると尊敬の眼差しを向けられますから、レンジャー徽章をもつ隊員がいることで、その所属部隊も活気づきます。

•つまり個人の成長だけでなく、その隊員が所属する組織にとっても、レンジャー訓練はとても有用なのです。この訓練は隊員個人を鍛え、強くすることはもちろん、最終的には自衛隊全体を強くすることにつながっているといえるでしょう。

•一部の優秀な人たちは、とやかくいわなくとも自分で実践し、自己の力を高めてゆける。そこで現場レベルのパフォーマンスの底上げに影響するのは、動機づけ次第で限界に挑戦するかもしれない残りの大半の人たちなのです。

人と組織を動かす5原則

『自衛隊元最高幹部が教える経営学では学べない戦略の本質』折木良一

•日ごろ行っている、備えの核心である教育訓練も、よほどしっかりとした目的意識、心構えをもって積み上げていかないと、いざというときに組織としての能力を発揮しえないことになります。

•事あるときには生死を共にする組織である自衛隊において、統率(リーダーシップ)の根本は、指揮官と部下との相互信頼です。

•一朝一夕につくらげられるものではなく、日ごろの業務のなかで意識しながら育てていくものだと思います。

•部下がリーダーや組織のために自然に何かをしたいと思うのは、リーダーを信じているからこそであり、リーダーもそれに応えなければなりません。

•そのためにはリーダーとして普段の教育が重要であり、任務を行うには目標を理解させることが原点です。

•力のいることですが、忍耐もリーダーシップの一つです。

4種類の人材

ルイス・ガースナー『巨象も踊る』

世の中には4種類の人がいる

•動きを起こす人

•動きに巻き込まれた人

•動きを見守る人

•動きが起こったことすら知らない人

この本はIBMで動きを起こした人たちをテーマにしている。

IBM経営者の条件 

『巨象も踊る』ルイス・ガースナー

•エネルギー

  •極めて精力的 •体力がある •行動を優先させる傾向が強い

•組織を率いる指導力

 •戦略のセンス •人々に動機づけを与え、活気づける •熱意を伝えて組織の潜在力を最大限に引き出す •強力なチームを作る •他人から最善のものを引き出す

•市場でのリーダーシップ

 •高等でのコミュニケーション力が卓越している •業界や顧客との関係にCEOとして関与し参加する •

•個人の資質

  •頭脳明晰 •自身をもち、同時に何を知らないかを知っている •聞き上手 •厳しい決定を下す―ビジネスと人事で •情熱が目に見える •顧客第一に徹する •スピードと影響を本能的に求める

ビジネスの教訓

ルイス・ガースナー『巨象も踊る』

•実務的なビジネスの世界は、流行にも奇跡にも無縁だ。成功を収めている組織、そして成功を収めている経営者には、三つの基本的な性格がある。

• 焦点を絞り込んでいる

• 実行面で秀でている

• 顔の見えるリーダーシップがすみずみまで行き渡っている

休みない自己改革

ルイス・ガースナー『巨象も踊る』

•IBMは環境と伝統、勤勉の組み合わせによって、そして幸運に恵まれて、いまでは新しい種類の企業、一見矛盾する性格を併せもった企業の先駆けになる立場に立つようになった。その性格の一部を、わたしは2001年の年次報告書に書いた最後の「株主への手紙」でこう表現した。

•「規模が大きく、しかも動きが速い。企業家精神があり、しかも規律がある。科学を重視すると同時に、市場主導型である。世界規模で知的資産を作りだせるとともに、それを個々の顧客に提供できる新しい種類の企業であり、つねに学び、常に変化し、つねに自己改革を行っていく。強固で、事業を絞り込んでいるが、新しいアイデアをいつでも受け入れる。官僚主義、偽善、駆け引きを嫌う。実績に報いる。そして何よりも、活動のすべてで人材と情熱を求める。」

「プロフェッショナルマネジャー」

柳井正 「これが最高の教科書だ」

リーダーシップ──現場と「緊張感ある対等関係」をつくれ 僕は、小売業では、お客さまとの接点の最前線である現場が重要だと考える。店で働く人々の「気づき」がどんどん本部に伝わってこないと、商品の品質向上もできない。店で働く人が、「この商品のここはもっとああしてほしい」「こうしないと売れない」と感じたのであれは、お客さまはもっと強く感じているはずだ。それを直ちに本部に伝えてもらう。そうなるには、商品を売らされるのではなく、自ら商品にコミットし、自分で売る感覚を日常化することが必要だ。

そこで大切な前提は、社長でも社員でもパートでも「対等」であることを、働く人々が現実に実感できることだ。お互いに努力して一つの目標を実現したいと思えるのは、全員が対等だと信じられるからだ。これがあって初めて、経営や店舗運営におけるリーダーシップが発揮できる。ジェニーン氏は言う。「(リーダーシップは)最高経営者と彼を中心としたトップ・マネジメント・チームの性格の反映として、どんな企業の中にもあって、それぞれの会社の個性をつくり出している。私の考えでは、リーダーシップの質こそ、企業の成功をもたらす処方に含まれる最も重要な成分である」 

僕は、「リーダーシップの質」とは、全員が対等で、現場の人が自分で考え、本当の自分の意見を出し合えるようにすることだと考える。ジェニーン氏は、「私の考えでは、楽しい繁栄の雰囲気をつくるのに最も重要な要素は、経営組織の上下を通じて、開放的で自由で率直なコミュニケーションを定着させることである」とも書いているが、これは人を動かすための大原則である。

「プロフェッショナルマネジャー」

柳井正 「これが私の最高の教科書だ」

ジェニーン氏は、経営者の条件とは、「経営者は経営しなくてはならぬ!」ことだと書き連ねる。そのリフレーンを読んで、「事業に常に情熱的にコミットメントするという態度が経営者には不可欠なのだ」と僕は思い知らされた。トップ経営者とは、自分で決断し、目標とやるべきことを明言し、失敗のリスクを100%背負う人のことなのだ。そして世の中に経営をしていない経営者のなんと多いことか。

僕はずっと失敗してきた。今までのビジネスも一勝九敗ぐらいである。唯一成功したのがユニクロだ。僕はもともと商売はうまくいかないものだと思っているが、「失敗しなければ成功はない」とも信じている。大事なことは、その失敗で会社を潰さないことだ。同時に、失敗の問題点を摘出し、失敗する前に対処するように心がけている。

つまり問題点を挙げさせ、月一度のゼネラルマネジャー会議で、全員で解決法を考えたという。問題を経営者全員で共有し、乗り切り、成功に変えていく。経営はチームワークだという考え方に、僕は共感する。「エゴチスム」(第八章)でも指摘されているが、人材を自分の手足に使うワンマン経営は、うまくいっているときには最大の効果を発揮するが、時間がたつと必ずツケが回ってきて、経営のマンネリ化が早まる。 僕は、経営者は自らの限界を知るべきだと思う。確率で言えば、経営者が一番優秀である確率のほうが低い。優秀な人とチームを組めば、自分の欠点をカバーしてもらえる。

しかし、チームを組むには、達成すべき目標が「努力するに値すること」だという認識と情熱をチーム全員に共有してもらわなくてはいけない。そこで重要なことは、できそうもない目標、努力したらできるギリギリの目標を掲げることだ。そして、経営トップとメンバーが対等の立場で議論を重ね、合意したうえで、仕事を進める。高い目標を示さない限り、誰も熱狂的に仕事をしない。

もう一つ重要なことは、数字を読む力だ。ジェニーン氏は、貸借対照表や損益計算書は体温計みたいなもの、と言う。「経営はまず結論ありき」という〝逆算の発想〟で経営を行うには、ちょっとした数字の変化で会社や現場の状況がわからなければいけない。僕は、過去の貸借対照表や損益計算書を記憶し、常に現在の数字と比較してきた。 最後にジェニーン氏は、こう結論づけた。ビジネスにおける最大の偉業は、人生のほとんどあらゆる場面におけると同様、天才によってではなく、平凡な普通の男女によって成し遂げられる、と。