組織を動かすための10の教訓

『リーダーシップ論』コッター

1.重要な組織変革を成功に導くのは息の長い仕事であり、複雑な8段階のプロセスからなるものである。変革がとんとん拍子に手際よく進むことはあり得ない。踏むべきステップを日和見的にはしょったり、実行手順をあべこべにしてしまうようでは、志はとうてい遂げられない。


2.どのような環境下であれ、変革は一般的に、数字におよぶ複雑なプロセスを経て完遂されるものだ。だが、組織変革を目指すマネジャーが主にどういった行動をとるかは、常に個々の状況に応じて異なる。その時々の状況を十分に考慮しなかなったり、ある特定のアプローチを万能だと思い、そればかりにしがみついたりするようでは、悲惨な結末につながるかもしれない。

3.20世紀の歴史とその時代に培われた企業文化の影響を受けた人々は、大変革を実行しようとする際に、皆、同じような過ちを犯す(これには多くの理由がある)。有能で正しい志を持ったマネジャーですら、その例外ではない。


4.リーダーシップとマネジメントは別物である。そして、意義ある変革を成功に導く原動力は、リーダーシップであってマネジメントではない。十分なリーダーシップが発揮されなければ、失敗の可能性は高く、成功の可能性は低くなる。新戦略、リエンジニアリング、企業買収、品質プログラム、体質改善など、どのような変革であろうと、それは同じである。


5.変化のスピードが速まっているため、組織を動かすうえでリーダーシップの重要性が高くなっている。組織内で権力を持つ人々のうちごく一人握りしか、この重要な事実を認識あるいは理解していない。

6.組織を動かす人々は、マネジメントとリーダーとしての仕事を両方こなすようになってきている、といって差し支えないだろう。マネジメントの仕事は、計画と予算を策定し、階層を活用して職務遂行に必要な人脈を構築し、コントロールによって任務をまっとうすることである。また、リーダーとしての仕事は、ビジョンと戦略を作り上げ、複雑ではあるが同じベクトルを持つ人脈を背景に実行力を築き、社員のやる気を引き出すことでビジョンと戦略を遂行することである。


7.マネジメントは、組織のフォーマルな階層を通して機能する。だがリーダーシップはインフォーマルな人間関係に依存する。このため、環境変化のせいでリーダーシップへのニーズが大きくなると、組織を動かす立場にある人々は、ますます複雑な力関係、人間関係の中に身を置くようになる。

8.組織を動かすうえで、リーダーシップの発揮が重要になってきている。そして、リーダーとは、人間同士の複雑な依存関係をくりながら役割を果たすものである。そのため、権力を振りかざすのではなく、インフォーマルな人間関係を上手く処することが、組織を動かす人々の重要な仕事になっている。


9.「組織を動かす」というテーマについて、ヒエラルキーやフォーマルな権威だけでなく、人的ネットワークや依存関係という問題も考えるようになると、そこに、興味深いさまざまな意味合いを見つけ出すことができる。従来は奇妙に聞こえたり、邪道と考えられていたアイデアー例えば、「上司をマネジメントする」-の重要性を、突如として理解できるようになる。

10.マネジャーやリーダーが分刻みの時間刻みでとる行動は、マネジャーや英雄的リーダー、あるいはエグゼクティブに対して世間が抱く典型的なイメージを裏切るのが普通だ。そのため、組織を動かす立場にある人々、とくに新米マネジャーは、大いに混乱してしまう。しかし、マネジャーがこなさなければならない幅広い役割(リーダーシップとマネジメント)、困難な業務(現状の継続と変革)、そして(フォーマルな階層だけにとどまらない)複雑な人間関係を考慮すれば、彼らの日々の行動も理解できるというものだ。